ジャストシステムに大打撃? グーグルが無料日本語入力ソフト公開

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12月3日、ジャストシステム(4686)株は7円安の171円と3日続落。東証1部で日経平均株価が368円高の大幅上昇となり、新興3市場も指数がそろって続伸しジャストシステムが上場するジャスダック市場の値上がり銘柄数が396に達する中、ジャストシステムは下落となった。
3日、グーグルが無料のWindowsおよびMac用の日本語入力ソフト「Google 日本語入力」を公開。ジャストシステムの主力製品ATOKへの打撃になるとの予測から売られたとみられる。10月28日にグーグルが、米国で無料のモバイル用ナビゲーションアプリケーションを公開した際、競合製品を有料で展開しているGarminの株価は16%TomTomの株価は21%急落しており、ジャストシステムの株価も似た動きとなった。ただ、10%超の下落となったGarminやTomTomに対しジャストシステムは3.93%の下落にとどまっており、比較的下げ幅は小さかった。 ATOKはマイクロソフトの無料日本語入力ソフト「IME」を競合相手とした展開を既に10年以上続けている。このため、初めての無料の競争相手登場だったGarminやTomTomに比べれば、ダメージは軽微との見方から下落率が低かった可能性はある。 ただ、「Google 日本語入力」はWeb上のデータをもとに変換辞書を自動生成する仕組みで、既存の日本語入力ソフトとは一線を画したものとなっている。グーグル検索同様の予測変換機能も付加されており、これまでの日本語入力ソフトに必須だった「辞書を育てる」手間が不要となっている。反響も大きく、3日午後8時時点ではてなブックマークは780に達している。反応は絶賛の一方、何もかもをグーグルに依存することを危惧する声もあった。また、ジャストシステムの行く末を心配する感想も散見された。2ちゃんねるの反応も同様で、ジャストシステムの先行きを案ずる書き込みが多数みられた。 ジャストシステムは2006年3月期から2009年3月期まで4期連続で営業赤字となり、この間の最終損失は累計で99億5261万円に達した。事態を打開するため今年4月、東証1部上場のキーエンス第三者割当増資を行い持分法関連会社となった。10月には創業者の浮川夫妻が辞任。キーエンス主導での再建が進められている。キーエンスは2010年3月期第2四半期時点で有利子負債ゼロ、自己資本比率96.2%超、営業利益率34.7%と、日本屈指の競争力と好財務で知られる企業。ATOKの今後はともかく、ジャストシステムそのものはキーエンスが投げ出すようなことがない限り存亡の危機とはならないだろう。ただ、キーエンスが利益にならない事業をどこまで温存するかは未知数だ。ATOKの先行きに暗雲が漂っていることには変わりがない。
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