プライスライン・ドット・コムの1998年-2011年業績

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プライスライン・ドット・コムは米国の逆オークションサイトです。扱っているのはホテルや航空券、レンタカーで、客の側が支払額を入力し、ホテルや航空会社がその価格を受け入れるなら交渉成立というウェブサービスです。日本ではほとんど忘れ去られた存在と言って良いでしょう。

しかし、プライスラインは2011年度の売上高が43億ドルに達する巨大サービスに成長しています。営業利益は13億ドルで、営業利益率は32%超。株式時価総額は300億ドルを優に超え、S&P 500にも採用されています。その存在をまったく無視していいようなサービスではありません。

プライスラインが創業した1997年からナスダックに上場する1999年にかけては、その独特の値付けシステムのアイデアに日本でも注目が集まっていたようです。ヤフーや楽天も逆オークションを導入していたようですが、現在は行っていません。2012年現在の日本では、中古車や不動産などの逆オークションサービスが細々と生き残っているに過ぎないようです。米国で成功したサービスをいち早く日本に持ち込むことをソフトバンクの孫正義社長はタイムマシン経営と呼びましたが、逆オークションはその失敗例の方になるでしょうか。

逆オークションが日本で定着しなかった理由はよくわかりません。プライスラインは逆オークションのビジネスモデル特許を取得しており、類似オークションを行う会社に対し、積極的に訴訟を行なっていましたので、それが大きかったのかもしれません。

また、同社の業績はITバブル崩壊後の2001年から2006年あたりまで低迷していましたので、それも注目を失った理由になるでしょう。

プライスライン・ドット・コム株の1999年3月から2012年6月22日までの株価チャート

1999年3月の上場から直近(2012年6月22日)までのチャートです。ご覧のように、ITバブルの最中に上場し、直後に株価が崩壊しています。上場直後に付けた最高値が974ドルで、2002年10月10日に付けた最安値は1.05ドル。株価100分の1どころかもう少しで1000分の1です。アメリカ版光通信と名付けたいくらいの暴落です。※株価は2003年6月16日に行われた1対6株式分割を反映したものです。

まあそういうわけで、訴訟には積極的だわ株価は大暴落するわあまりにも印象が悪かったプライスラインですが、2007年から株価が上昇し始め、2012年4月には764ドルまで買われています。最安値から今度は70000%超上昇する大復活です。もちろんこれは、業績が成長に転じたことによるものです。

売上高売上原価粗利益営業利益純利益
単位:100万ドル
1998年3537-1-113-112
1999年48242558-1062-1055
2000年12351043192-322-315
2001年1172979193-14-7
2002年1004845158-23-19
2003年864718146812
2004年9147161983032
2005年96369526836193
2006年11237224016274
2007年1409770639138145
2008年1885929956289186
2009年233810771261471489
2010年308511761909787528
2011年43561276308013991059

プライスラインの1998年から2011年までの業績推移です。2006年あたりから売上高が大幅に伸び始め、次いで利益も急上昇し始めます。2006年から2011年にかけ、売上高は年率28.6%、純利益は年率32.8%の高成長を遂げました。2011年など、前年から1年で売上が1271億円増加しています。国外での売上が大きく伸びたのが理由です。

今のところプライスラインは日本に進出していません。しかし、現在のペースで業績を拡大させるために、いずれ日本でもサービスを開始するのではないかと思うのです。ということで、個人的にプライスラインの動向に注目しています。

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