auからiPhone5発売でソフトバンクとKDDIに起きること

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日経ビジネスがiPhone5が11月にもauから発売されると報道している。

KDDI、「iPhone5」参入の衝撃 ソフトバンクの独占崩れ、auで11月にも発売:日経ビジネスオンライン

iPhoneは使いたいがソフトバンクの回線は嫌というユーザーには朗報だ。

考えるまでもなくこれは、KDDIにプラス、ソフトバンクにマイナスだ。今日の両社の株価がどう動くかは見ものだろう。

iPhone5が実際にauから発売されるとどうなるか? 現在、携帯電話各社の加入者獲得状況は、ソフトバンクモバイルが17カ月連続で純増数トップとなっている。8月の純増数はソフトバンクモバイルが23万9000件で、auは7万3000件だ。この数字がiPhone5発売以降にどう変化するかが焦点になる。

ソフトバンクはiPhoneが他社から発売された場合どうなるかをシミュレーションしている。

もしもドコモがiPhoneを売ったら:FACTA online

NTTドコモがiPhoneを導入した場合、2011年度の販売想定台数は半減する――。ソフトバンクが内部資料用に算出した数字だ。iPhoneがソフトバンク独占の場合、新規契約が267万台、機種変更が203万台なのに対し、ドコモが参入すれば新規契約が95万台、機種変更が157万台に減少。252万台がドコモ向けに流れるという想定だ。アップルがドコモと組めば、ひとたまりもなくシェアを奪われるという戦(おのの)きが伝わってくる。

これはauではなくNTTドコモから発売された場合の想定だが、春の時点ではソフトバンク半減というシミュレーションだった。単純に8月の純増数を、ソフトバンクを半減させ、その分をauに移してみたのが下の表だ。

2011年8月 2011年12月予想
ソフトバンク 239000 119500
au 73000 192500
NTTドコモ 182100 182100

NTTドコモの純増数に変化が無いとすれば、iPhone5発売後の12月には、auがトップになりソフトバンクは最下位に転落する。極めていい加減な計算だが、だいたいの方向はこの通りだろう。

ソフトバンクとKDDIの株価は、この状況を4月以降、予見する動きを続けていた。KDDI株が上昇を続けているのに対し、ソフトバンク株は4月以降下落に転じている。現在は200日移動平均線を下回っており、株価の動きは重い。

ソフトバンク週足チャート2010-09-20~2011-09-19

ソフトバンク株が下落に転じた4月は、ソフトバンク契約者数半減予想が出回った時期だ。孫正義ソフトバンク社長は、このあと自然エネルギー発電に舵を切り、発電事業参入へ傾注していく。近い将来にiPhoneが他社から発売される事態に備えてのものという指摘が一部にあった。

対するKDDI株はこの1年、上昇を続けている。

KDDI週足チャート2010-09-20~2011-09-19

世間的には負け組との評価がまだ多かったが、実際にはKDDIには変化が起きており、株価は期待を織り込んでいた。昨年12月に就任した田中孝司社長への期待が大きかったように思う。

田中社長はUQ WiMAXを成功させ、その功績で社長に就任した。この人は1980年代、スタンフォード大学に留学し、そこでスタートアップを始めようとして果たせなかったという人だ。KDDIは今年、「KDDI∞Labo」というAndroid向けソフトウェアやネットサービスの支援プログラムを実施しているが、これは田中社長の肝いりによるものだ。ようするにこの人は、ネットを取り巻く世界の、同じ空気を吸っている。

この同じ空気を吸っている人、という感じは、社内向け政治が全てに優先するNTTドコモのやっていることと比べれば際立つと思う。iPhone5のauからの販売に成功したのも、80年代のシリコンバレーの空気を吸い、今も小規模スタートアップ支援に力を入れるという同時代のまともな感覚を持った人という部分は大きいだろう。

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