日本風力開発 2002年~2012年業績推移

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日本風力開発が26日、非開示だった2013年3月期(今期)の業績予想を公表し、4期ぶりの黒字転換見込みを示しました。7月1日から始まる再生可能エネルギー買取制度の恩恵を受け、売電事業の売上高が大幅に増加することによります。

日本風力開発 業績推移
売上高売上原価粗利益販管費営業利益支払利息経常利益純利益EPS

単位:100万円 EPSのみ円
2002年3月期12721043229235-630-2-13-2135
2003年3月期4064342563844419341170954817
2004年3月期487237661105702402546313594831
2005年3月期58273942188511557301995042733092
2006年3月期794253492593157110222557853803913
2007年3月期80945213288121077742725352552615
2008年3月期10522767428471190165754211096566404
2009年3月期7198281243861419299663222018316799
2010年3月期511242178951679-7841082-2092-2278-16900
2011年3月期524651241222581-24591185-3626-5696-37951
2012年3月期598655814051735-13291368-2538-5506-36639
2013年3月期予想8150   1520 4104673106

同社は2009年3月期まで風力発電所開発事業の売上高が過半を占めていましたが、2010年3月期以降は売電事業の売上が中心となっています。同社がセグメント別の業績を公表していたのは2007年3月期から2011年3月期の間のみで、2012年3月期の事業別売上高は明らかにされていません。

日本風力開発 2007年3月期~2011年3月期の事業別売上高

2011年3月期の全社売上高は52億円で、売電事業の売上高は51億円でした。2012年3月期の売上高59億円、今期の予想売上高81億円も大半が売電事業によるものとすると、風力発電の1キロワット時当たり23.1円という買取価格が、どれだけ同社の業績を押し上げる効果があったか見えてきます。同社は前期、新たな風力発電所の稼働はありませんでしたから、今期の21億円という売上高増加は、ほぼすべてが電力買取価格による恩恵とみて良いでしょう。

今期の黒字化を2009年まで積極的な設備投資で発電施設を増加させてきた努力が報われたとみるか、高めに設定された買取価格の恩恵を受けたとみるかは意見の分かれるところです。

買取価格が高めに設定されたことで一息ついた同社ですが、今後が安泰かといえば、それはまた別の問題です。同社は現在、「継続企業の前提に関する重要事象」の注記が付されています。前期まで3期連続で最終損失となり、金融機関から支援を受けています。流動比率は安全性の目安となる100%を大きく下回る27.3%、自己資本比率は9.3%と危険水域に達しています。

日本風力開発 2002年3月期~2012年3月期の自己資本比率推移

今期の営業利益は15億円を見込んでいますが、支払利息が過大なため経常利益段階では4億円まで目減りします。借入金の返済ではなく、利息の支払いだけで10億円超が必要で、新規の投資余力があるかは微妙なところです。また、過去には不明朗な会計処理を指摘されたほか、インサイダー事件も発生しています。市場における同社の位置づけは芳しいものではありません。

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