林原の再建スポンサーに長瀬産業

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今年2月に破綻した林原の再建支援スポンサーが長瀬産業(8012)に決定しました。長瀬産業は化学品を中心とした専門商社で業界首位。林原には良いスポンサーがついたといえるでしょう。また、長瀬産業にとっても、この買収によって期待できる収益は大きなものになりそうです。 林原は1994年に、世界で初めてトレハロースの大量生産手法を確立し世界市場を独占していました。トレハロースは上質な食品製造には不可欠な糖分で、林原の経営は、普通であれば順風満帆となるはずでした。しかし実際には、林原は20年以上にわたり不正経理を続けていたことが明らかになり、負債総額は1000億円以上、債務超過は500億円以上に達していました。同族企業の林原は監視機能がまったく働いておらず、監査役まで一族の人間が就いていたのです。2月に全てが明るみに出てに破綻した際は、たいへん大きな話題になりました。 安定した食品分野が事業の中心で、市場を独占していたにもかかわらず破綻するというのはある意味離れ業ですが、JR岡山駅前の広大な土地を開発するザ・ハヤシバラシティ構想など、収益性の定かでない事業に手を出し経営破綻に至る様子は、過去にもよく見てきた光景ではあります。 さて長瀬産業ですが、林原とは同族企業という点が共通しています。長瀬産業は天保3年(1832年)6月18日に京都・西陣で長瀬伝兵衛が染料や澱粉などを取り扱う「鱗形屋」を創業したことに始まります。現在の社長は長瀬洋氏で、創業から180年近くたった今も、長瀬家から社長が出ています。180年前の創業時に澱粉を扱っていたという長瀬産業が、澱粉からトレハロースを生産する手法を確立した林原を傘下に収めるという点も縁を感じる部分です。事業分野も重なっており、ある種の共通点もあるということで、長瀬産業による林原再建はうまくいくのではないかと思う次第です。 長瀬産業の事業における林原の扱いですが、バイオ・ライフサイエンス事業領域への寄与を期待されています。 長瀬産業 ライフサイエンス事業 営業利益 長瀬産業 ライフサイエンス事業 営業利益 長瀬産業のライフサイエンス事業の過去6期の売上高と営業利益の推移ですが、ごらんのように足踏みが続いていました。林原の経営はでたらめでしたが、トレハロースやインターフェロンなどの商品は高い競争力を持っています。長瀬産業の販売力と組み合わせることで、林原が扱っていた頃よりも普及が進む可能性は高いでしょう。これにより、長瀬産業のライフサイエンス事業も大きく伸びると思われます。 長瀬産業の2011年3月期の事業別売上高と営業利益の比率です。買収した林原の収益がライフサイエンス事業に上乗せされ、3本柱から4本柱となることが期待されます。
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