日経のPikuは乱脈経営だったとの記事に元監査役の磯崎哲也氏が反論

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日経ビジネスに掲載されたクーポン共同購入サービス「Piku」についての記事に、Pikuを運営するピクメディアの元監査役・磯崎哲也氏が詳細な反論をブログにアップしていました。
本日付けの日経ビジネスONLINEに、『「クーポン」先駆者、撤退へ』という特集が載っていますが、この記事は、あちこちに事実誤認があり、著しく取材不足なのではないかと思いましたので、私が知っている範囲で事情を説明させていただきます。
日経の記事は、日本で初めてクーポン共同購入サービスを開始したPikuがこの事業から撤退に追い込まれたのは、「経営なき経営」のためだったというもの。経営なき経営の具体例として、経営陣が半年で3度入れ替わったことや外国人社員数十人の年俸が1000万円を超えていたこと、3月11日の東日本大震災後に会社上層部の外国人社員が海外へ一斉に避難し経営陣不在になってしまっていたことなどを挙げています。 が、磯崎氏はこれらの指摘のほとんどが間違いだとして、一つ一つ反論を加えています。非常に丁寧な反論で、日経の記事と磯崎氏のエントリを読むことで、クーポン共同購入サービス市場の現状やビジネスの仕組み、スタートアップの内実といったものがよく理解できるようになっていて必読です。 また、Pikuの売上高は3月11日の東日本大震災以降、急減していました。 グラフはクーポンジェイピーの調査結果を基にまとめた2010年12月以降の、クーポン共同購入サービス各社の月間売上高の推移です(1位と2位のグルーポンとポンパレは売上高が桁違いなので省いています)。一休マーケットやシェアリーとともに業界3位グループを形成していたPikuの売上が3月を境に落ちて行く様子がよく分かると思います。 Pikuはもともと外国籍の方が作った会社でしたので、災害により日本でビジネスを継続する気がなくなってしまったのだろうかと、「海外から忌避される放射能汚染後の日本」という文脈で気になっていました。そのあたりの事情も説明されていて興味深かったです。 磯崎氏のエントリは指摘のほとんどが日経記事の事実誤認の指摘で、乱脈経営など行われていなかったことを説明しているのですが、地震後に経営陣不在になった点に関してだけトーンが違います。
しかし、他の役員にも相談なく黙って出国するというのは、さすがに私もカチンと来ましたし、創業者であれば、日本に残って被災した取引先や従業員を気遣うといったことをやるべきだったと思います。
(震災当時、緊急で閉店した店や操業が止まった店も多かったので、「クーポンを持って店に来たけど、店が閉まってる」「モノが届かない」といったクレームが殺到して、創業以来最も現場が忙しい時期ではなかったかと思います。)
そりゃ経営トップが黙って居なくなってしまえば、監査役は頭に来ますよね。 さて、私が日経の記事を初めに読んだ時の印象ですが、Pikuの内実はそんなことになっていたのかと素直に信じていました。Pikuの売上減少は目立っていましたから、状況からいってあまり記事の内容を疑う理由もなかったからです。ですが、磯崎氏の反論でそれらが事実誤認であると理解できたわけで、やはり誤解には丁寧な反論が必要だなと改めて思ったしだいです。 また、ネットが普及する以前なら、大メディアの日経にデタラメを書かれてしまえば、それっきり泣き寝入りするしかないことがほとんどだったにも関わらず、その日のうちに反論が多くの人に読まれるということに、ウェブの良さを再確認しました。
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