XBRLの間違いってどんな影響があるんだろう
スポンサーリンクドワンゴ(3715)が11月10日に2009年9月期の業績予想を修正した。注目を集めたのは最終赤字への下方修正を行い、ニコニコ動画の事業投資に対する減損損失11億500万円を計上したことだ。でもその一方、開示書類にひっそりと忍び込んでいた間違いがあって、僕はそちらが気になっていた。
決算期間のズレ
東証では2008年10月から、XBRLによる電子開示が義務づけられている。決算と業績予想の修正、それから配当を変更する際は原則としてXBRLファイルの提出が必要となる。それでドワンゴが業績予想を修正した際も、XBRLファイルがダウンロード可能になっている。調べることがあってドワンゴのXBRLを眺めていたら、決算期が間違って記入されていた。上の画像はTDnetのXBRLファイルを元に生成される開示書類のスクリーンキャプチャなんだけど、修正された決算期が平成22年9月期になっている。言うまでもなく、これは平成21年9月期の誤りだ。
自社サイトのニュースリリースやPDF版の開示書類は平成21年9月期となっているので、単なるXBRLへの不慣れによるケアレスミスのようだ。
数値ミスの影響
XBRLファイルの数値が間違っているために、XBRLを解析して財務情報などを閲覧可能にする見えるXBRLや速報キャッチャーの情報も2010年9月期の業績予想が修正されたことになってしまっている。
業績予想の発表から1日が経過した11月11日午後11時30分現在、修正は行われていない。この間違いを見つけたのは偶然なんだけど、こうなってくると、そもそもこれまでのXBRLファイルにも誰も気づいていない間違いが潜んでいるんじゃないのか? という疑問がわいてくる。今回のような決算期間の間違いなら、見れば誰でも分かるものだし、たいしたミスではない。
でも重大な間違いだったらどうなっていただろう? たとえば、売上額や利益額を間違うような。
XBRL利用でありえるトラブル
XBRLを導入するメリットは自動処理にある。大量の財務情報をすばやく処理できる点が魅力なわけで、ニュース記事の自動生成やプログラムによる自動売買が利用方法として考えられている。ニュース記事の自動生成はすでに実用化され、XBRLに間違いがあっても素通ししてしまうことは今回分かった。同じことは、プログラムによる自動売買でも起きえるだろう。
XBRLの普及具合や利用実態がどういった状態なのかは不明だ。鳴り物入りで始まったほどには盛り上がっていないように感じるけど、個人的な印象に過ぎない。でももしXBRLが広く利用されるようになり、さまざまな機能がインターネット上で提供されるようになれば、ミスの影響も大きくなるだろう。新しい何かが普及するときには、考えもしなかったトラブルがつきものだ。異常な数値が紛れ込んだとき、それをチェックするロジックを組み込んでおかなければ、プログラムはすべてを素通ししてしまう。今回の出来事で、XBRLの利用で起こりうるトラブルがどういうものになるか見えたように思う。