エイチエス証券がIPO株を社員で山分け

公開日時
2010年6月16日 水曜日 7時46分
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個別株

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これはひどい。ひところほどの威力はなくなった新規上場株ですが、それでも公開前に配分を受けることができれば非常に高い確率で値上がり益を見込めるわけで、魅力がなくなってしまったわけではありません。新規公開株が登場する度に申し込み、抽選を心待ちにしているIPO投資家も多いと思います。

6月15日に日本証券業協会が発表したところによると、エイチ・エス証券では、本来抽選で割り当てられるIPO株を、なんと社員7名が自ら受け取っていたようです。発表資料(PDF)によると、

営業統括本部長、監査部長及び営業部店長等の行為者7名においては、名義借り等により自己の利益を得ることを目的とし、少なくとも平成16年3月から平成17年11月までの間、不公正な配分を行っていた。

とのことです。要するに名義借りした口座でブックビルディングを申し込み、その口座を当たりにしたわけですね。プレゼントキャンペーンで社員が自分を当選者にするみたいな話で、はっきり言ってめちゃくちゃです。

しかも平成16年3月から平成17年11月といえば、2004年から2005年にかけてのIPOバブル期。新規公開株が上場のたびに公開価格を遥かに上回る初値をつけていた頃です。証券業界全体でIPO人気を煽りに煽っていた頃でもあり、そういう時期に証券会社自ら社員にIPOを割り当てていたのですから、投資家を馬鹿にするにもほどがある。

日証協の発表は6月15日で、ロイターや日本経済新聞がこのニュースを15日午後5時から午後6時にかけて報道しているのですが、16日午前7時現在、HS証券のサイトでは特に何の発表もありません。親会社の澤田ホールディングスの方も16日午前7時現在、サイトでも適時開示情報でも発表なし。内容からいって何らかの発表は必要と思われるのですが、これからプレスリリースが出るかな。

報道各社の記事も「不構成な配分」の一文でさらっと触れるだけで、抽選する側が自分たちを当選者にしていたという一番ひどい部分を書いていません。ロイターの記事では以下のような書き方です。

日本証券業協会は15日、エイチ・エス証券に8000万円の過怠金を科す処分を行ったと発表した。新規公開株式の不公正な配分が行われていたことに伴う措置。

日証協は過怠金のほか、再発防止策等の策定、提出も求めている。

日経の方も同様で、「株式を顧客に不公平に配分していたほか、監査部長らが長期間にわたって顧客資産を横領していた」という書き方なので、自分で自分にIPOを割り当てていたことは分かりません。16日以降にきちんと取材した記事が出てくるのかな。

どの銘柄でこういうことをやったのかは不明ですが、主幹事となった銘柄であれば割り当ても多く、不正が行われた銘柄が含まれる可能性も高いかもしれないと、試みにHS証券が主幹事を勤めた銘柄をリストアップしてみた。

上場日 銘柄名 銘柄コード 市場 公募価格 初値 上昇率
2002/9/10 ビービーネット 2318 ヘラクレス 145000 187000 29%
2003/1/28 オックス情報 2350 ヘラクレス 190000 260000 37%
2003/4/16 ジョルダン 3710 ヘラクレス 440 800 82%
2003/6/30 アソシエント・テクノロジー 3714 マザーズ 195000 300000 54%
2003/11/25 サイバーファーム 2377 ヘラクレス 330000 421000 28%
2004/3/3 アップガレージ 3311 マザーズ 275000 527000 92%
2004/3/16 アルファ・トレンド 4352 アンビシャス 65000 150000 131%
2004/5/17 東京グロースリート投資法人 8963 大証リート 395000
2004/5/20 コムシード 3739 セントレックス 500000 2200000 340%
2004/5/26 レカム 3323 ヘラクレス 250000 950000 280%
2004/6/1 エイペックス 3324 セントレックス 520000 915000 76%
2004/7/2 リンク・ワン 2403 マザーズ 400000 2810000 603%
2004/8/18 シコー技研 6667 マザーズ 3000000 5000000 67%
2004/8/23 イーネット・ジャパン 3334 ヘラクレス 430000 1000000 133%
2004/10/1 キャリアデザインセンター 2410 ヘラクレス 700000 700000 0%
2004/10/5 ベリトランス 3749 ヘラクレス 600000 1350000 125%
2004/10/28 21LADY 3346 セントレックス 110000 94000 -15%
2004/12/9 パラカ 4809 マザーズ 550000 914000 66%
2004/12/17 ワールド・ロジ 9378 ヘラクレス 195000 230000 18%
2005/3/3 ロジコム 8938 ヘラクレス 140000 421000 201%
2005/4/5 シンワアートオークション 2437 ヘラクレス 650000 3010000 363%
2005/9/21 アイフィスジャパン 7833 マザーズ 690000 1850000 168%
2005/9/29 ランドコム 8948 セントレックス 30000 51500 72%
2005/11/17 データプレイス 3781 セントレックス 170000 251000 48%
2005/11/29 アプレシオ 2460 セントレックス 350000 382000 9%
2006/4/6 ゴルフ・ドゥ 3032 セントレックス 170000 407000 139%
2006/6/20 オウケイウェイヴ 3808 セントレックス 155000 190000 23%
2006/8/22 メディカル・ケア・サービス 2494 セントレックス 275000 301000 9%
2006/9/12 三栄建築設計 3228 セントレックス 310000 325000 5%
2007/2/6 光ハイツ・ヴェラス 2137 アンビシャス 270000 282000 4%

不正が行われた2004年2月から2005年11月と、HS証券が主幹事銘柄を多数上場させていた時期が、ちょうど重なっていることが分かります。不正な配分を行った銘柄もこのリストに含まれている可能性が高いだろうと思うわけです。初値上昇率は倍増以上がごろごろとあり、仮にこのリスト中の銘柄で不正を行っていたのなら、かなりの利益を得ていたでしょう。

しかしこれ、別の意味で凶悪な表ですね。BBネットにオックス情報にアソシエント・テクノロジーにサイバーファームにと、別の意味で引いてしまいます。あ、サイバーファームとHS証券ってライブドアの沖縄のあれか…。

うん、そんな証券会社なら社員が当選者になるくらい驚きではないですね。調べていたらそういう結論に達してしまった。