[市況]2009年11月の東京株式市場を振り返る

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崩れた相場

2009年11月の東京株式市場は、日経平均株価の終値が9345円55銭、TOPIXが839.94ポイントとなった。10月終値からは、日経平均が689円19銭、6.8%下落。TOPIXは54.73ポイント、6.1%下落。月単位では4カ月連続の下落となった。8月31日終値からは、日経平均が10.9%、TOPIXが13.0%下落している。3月のバブル崩壊後安値から50%を超える上昇の後であることを考えれば、一見想定範囲内の調整に見えなくもない。

しかし、海外市場に目を向けると、日本市場のおかれた風景は一変する。また、8月31日という、民主党が大勝した衆議院選挙翌日に日経平均とTOPIXが年初来高値をつけ、政権発足後に下落を続けていることの意味は重い。

売られる日本、民主党というリスク

8月31日以降、高値を更新できないどころか下落を続けている東京株式市場を尻目に、各国の株式市場は年初来高値を更新し続けてきた。米国ではダウ工業株30種平均が8月31日から11月27日まで8.6%、ナスダック総合指数は6.4%、S&P500種は6.9%上昇している。新興国に目を向けると、上海総合指数は11月30日まで19.8%、ブラジル・ボベスパ指数は18.8%と、日本市場の独歩安は見過ごせない水準となっている。

市場で語られているのは民主党・鳩山内閣の混乱した経済政策への警戒感だ。中小企業の返済猶予を促すモラトリアム法案は、銀行セクターの株価を暴落に追い込んだ。BIS規制強化も重なり、メガバンクから地銀に至るまで増資に追い込まれる銀行が続出し、業種別株価指数で銀行株は8月31日からの3カ月で20.5%下落した。小泉政権が莫大なエネルギーを注ぎ成し遂げた郵政民営化は、なし崩しにされた。三井住友銀行出身の西川善文社長を更迭し、民主党が後任に就けたのは元大蔵省次官の斎藤次郎氏と、一方では官僚の手から政治を取り戻すといいつつ、他方では民業から官業への逆転を推進している。高速道路無料化に見る、温暖化ガス排出25%削減目標との矛盾した政策も、鳩山内閣の政策遂行力に疑問符をつける。

相場の先行きは、暗い。

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